●楽器を送る運動のスタート
バゴ研修センターの渡辺所長から「この島には楽器とスポーツ用具がないため、音楽と体育の授業は何をしているのか分からない」といわれたことに触発され、家庭や学校で使われないで眠っている楽器を集めてネグロス島に届けることとした。土浦地区JRCや県内各地の小学校などが協力してくれ、1996年からはNGO茨城の会が中心となって「アジア・アフリカの子ども達に楽器を送る運動」に発展し、北は北海道から南は沖縄まで全国各地からたくさんの楽器の提供をいただくことができた。「茨城アジア教育基金」を支える会、キャンヘルプタイランド、水戸ユネスコ協会、ガールスカウト茨城県連盟などは、長年にわたって楽器の収集活動に協力してくれた。また、県生涯学習センターの協力により「教材再生プロジェクト」として県内の高校生をはじめ多くの皆さんから楽器の提供をいただくことができた。埼玉生協や群馬生協には毎年決まった時期に受け取りに行き、ライトバン車一杯になるほどの楽器の提供をいただいた。
●鈴をくれた年配の女性
牛久市の高齢の女性が、「家には楽器がないので鈴を買ってきました」と手紙を添えて小さな鈴6個を封筒に入れて送ってくれた。「我が家には鍵盤ハーモニカが2個ありますが、一つは子どもの記念に残し、もう一つは海外で新たなメロディを奏でてもらえたら嬉しいです」と添え書きをして送ってくれた人もあった。手元に届いた楽器には名前が書かれていたり、可愛いシールが貼ってあったり、それぞれの思い出が一杯こもった楽器である。
●13か国の子ども達へ送る
届いた楽器は、NGO団体の協力によりクリーニングや消毒を行い開発途上国の子ども達に届けている。作業には、多くの高校生もボランティアとして参加してくれている。点検された楽器は、NGO団体が海外に行くとき持参するか、船便で送っている。これまでに13か国の子ども達に届けることができた。(タイ、ラオス、ベトナム、フィリピン、バングラデシュ、ネパール、モンゴル、インドネシア、スリランカ、中国、ザンビア、ケニア、チモール)
●茨城コンサートの開催
ネグロス島では、届いた楽器を使って音楽教育が充実し、私達が学校を訪問するたびに生徒達が演奏して迎えてくれている。オイスカメンバーの田中慶子さんは、長期間にわたってバゴ研修センターに滞在し、バゴ市内の小学校を訪問し鍵盤ハーモニカ、リコーダーの演奏の指導をしてくれた。また1997年からは、届いた楽器を使って「茨城コンサート」という名称でバゴ市主催の音楽会が毎年開催されている。5,000人が収容可能なラモントーレス・コロシアムで1,000人を超える小学生及びたくさんの父兄などの参加により行われている。
●足踏み式オルガンは、分解して専用の箱に入れ持参しました。現地で組み立てて贈呈すると先生や生徒たちは大喜びでした。
●25年を迎えた楽器の収集活動
NGO茨城の会1996年にスタートした「アジア・アフリカの子ども達に楽器を送る運動」は、2020年で25周年を迎えた。これまで18,000個を超える楽器の提供をいただき、多くの海外の子ども達に届けることができている。新型コロナウイルスの感染拡大により自宅待機が長くなったことから、近年はたくさんの楽器が提供されている。日本の子ども達が使っている素晴らしい楽器を開発途上国の子ども達に届け、より良い音楽教育が受けられるように努めていきたい。
(単位:個)
楽器の種類 | 数 量 | 楽器の種類 | 数 量 |
鍵盤ハーモニカ | 5,132 | 木琴 | 221 |
リコーダー | 6,213 | 鈴 | 351 |
ハーモニカ | 2,218 | マラカス | 42 |
カスタネット | 2,849 | その他の楽器 | 899 |
タンバリン | 304 | 合計 | 18,229 |
(資料 NGO茨城の会)
また、楽器を送るための協力金は、これまでに973,857円の提供があり、楽器の清掃作業や海外へ楽器を送るための費用、不足し
ている部品の購入などに使用した。たくさんの協力金の提供に感謝します。